大学受験において最難関の学部といえば、医学部ですよね。
近年は職業の安定性の面などからも医師という職業の人気が高まっていて、医学部受験者数はこの10年間で約3万人増加して10万人を超えています。それに対して医学部の定員は全体で9300人程度と、高倍率な受験となっています。
どの大学においても医学部は高偏差値ですし、倍率も高く狭き門となっていますが、そんな医学部入試でも総合型選抜が実施されていること、知っていますか?
厳しい医学部受験を勝ち抜くのに、「チャンスは一つでも多いほうがいい」という医学部受験生には、総合型選抜は大きな助けとなることは間違いありません。
この記事では、医学部の総合型選抜に関して徹底解説していきます。
目次
医学部で総合型選抜を実施している大学は25校もある(2023年度入試)
医学部で総合型選抜を実施している大学は以下の通りです。(2023年度入試)
思ったよりも多くの大学で実施しているのではないでしょうか?
国立 | 定員 | 現・浪 | 備考 |
旭川医科 | 5(国際医療人特別) 32(北海道特別) | 1浪 | ・卒業後の地域勤務条件あり ・北海道特別選抜:北海道に所在する高校または中等教育学校を卒業または卒業見込みの者 |
北海道 | 5 | 現役 | |
弘前 | 42 | 1浪 | 青森県内から27名 北海道・東北15名 |
東北 | 27 (Ⅱ期15 Ⅲ期12) | 現役(Ⅱ期) 1浪(Ⅲ期) | |
筑波 | 若干名 | – | |
富山 | 20 | 2浪 | ・卒業後の地域勤務条件あり ・富山県の高等学校を卒業または卒業見込みの者(定員のうち10名) |
神戸 | 10 | 現役 | |
高知 | 30名以内 | 1浪 | ・卒業後の地域勤務条件あり |
愛媛 | 10 | 3浪 | ・卒業後の地域勤務条件あり ・愛媛県内の高校を卒業または卒業見込みの者 |
徳島 | 8(四国研究医型) | 1浪 | ・卒業後の地域勤務条件あり ・四国四県の高等学校を卒業または卒業見込みの者 |
広島 | 5 | 1浪 | |
大分 | 22 13(地域枠) | 2浪 | ・地域枠:大分県内の小学校または中学校卒業者で、大分県の地方医療に貢献する強い意思を持つもの |
公立 | 定員 | 現役・浪人 | 備考 |
福島県立医科 | 5以内 | 現役 | |
大阪公立 | 5 | 1浪 | |
私立 | 定員 | 現役・浪人 | 備考 |
岩手医科 | 8名程度 | 2浪 | ・圭陵会正会員の推薦を得たもの ・卒業後、本学附属病院で2年間の臨床研修を行うことを確約できる者 |
順天堂 | 2 | – | |
獨協医科 | 3以内 | 30歳以下 の大卒者 | |
東邦 | 約10名 | 1浪 | |
東海 | 10 | 現役 | |
金沢医科 | 14(AO) 8(卒業生子女) 1(研究医枠) | 25歳以下 | ・卒業後の地域勤務条件あり ・卒業生子女:本学医学部卒業生の子女であるもの |
藤田医科 | 12 | 1浪 | |
関西医科 | 7 | 現役(国際型) 1浪(英語型) (科学型) | |
兵庫医科 | 約5名(一般枠) 3名以内(卒業生子女) | 1浪 | ・卒業後の勤務条件あり ・卒業生子女:両親および祖父母のうちいずれかが兵庫医科大学医学部の卒業生である者。 |
大阪医科薬科 | 8 | 現役(専願) 1浪(併願) | |
川崎医科 | 20(中国・四国出身者) 1(霧島市地域枠) 4(特定診療科専攻枠) | 4浪 | ・卒業後の勤務条件等あり ・中国・四国出身者:中・四国の高校卒業者、または住民 ・霧島市地域枠:鹿児島県霧島市内の高校出身者、または住民 |
医学部の総合型選抜は他の学部と違った特徴が複数ある
医学部は一般選抜においても他の学部と違う点が複数ある学部ですが、総合型選抜においても、他の学部とは異なる傾向が多くなっています。それらの傾向を見てみましょう。
二次試験レベルの学科試験が課されることが多い
総合型選抜と言えば学力試験以上にこれまでの活動やこれからの学習の意欲を見る選抜方法として知られていますが、医学部の総合型選抜では一般選抜に近いレベルの学科試験が課されることがほとんどです。
やはり医学部は入学してから学ぶ内容もハイレベルですし、最低限の学力が保証できないと入学は許可できないということですね。これは納得です。
卒業後の勤務や研修に条件が付いていることがある
医学部にはもともと「地域枠」という制度が設けられています。これは、卒業後、特定の期間その大学の地元の地域で医師として勤務する事を出願の条件としている選抜制度で、地方の医師不足を解消するために設けられている制度です。卒業後の勤務が制限されますが、その分敬遠する受験生も多く、比較的合格しやすいというメリットがあります。
医学部の総合型選抜の中にもこの地域枠があり、大学によっては、総合型選抜はすべて地域枠ということもあります。また、大学によっては卒業後に附属病院などでの勤務や研修を義務付けていることも多く、こちらも卒業後のキャリアに影響してきます。
医学部の場合は特に卒業後にも影響与えるので、志望校選び、出願の際にはしっかり条件をチェックしておくことが肝心です。
地域出身者限定の募集が多い
医学部の受験では地域出身者に限定した募集が多くなっています。例えば、旭川医科大学では37名の募集のうち32名が「北海道特別選抜」となっており、「北海道に所在する高校または中等教育学校を卒業もしくは卒業見込みの者」が対象となっています。
こうした募集は総合型選抜に限らず医学部入試全体に見られるものですが、特に地方の大学でこの傾向が顕著であり、全体として地方での医療活性化に力を入れていることがわかりますね。
熱意や、大学の理念との合致度が他学部以上に重視される
医学部は患者さんの人生を左右する医師を育てる場所ですし、学問を教えるだけでなく人を育てる場としての機能が非常に強い学部です。その分「大学の理念と合致している人物か」ということを他学部以上に重視した選考が行われているといわれます。
学力が高いのは前提として、試験の結果がとても良くても、大学の方針に合致していなさそうな受験生は不合格になってしまうことも多くなっているということですね。
医学部は特に教育方針の違いが大学ごとにでやすい学部でもあります。出願の際には、心からその大学の考え方や教育方針に共感できるかということも確認して出願をしましょう。
穴場の大学も。東海大学がおすすめ
医学部の受験は簡単なものではありませんし、基本的に他の学部の総合型選抜に比べると、選抜の内容も周りのライバルのレベルも高くなります。
ですから、簡単に合格できる大学は当然ありませんが、一般選抜に比べた合格のしやすさという点では穴場といえる大学も存在します。
特に東海大学の総合型選抜は比較的合格しやすいというデータが出ています。
昨年は受験生が98人、合格者が24人と医学部としては倍率が低めで入学者も多くなっています。実際「一般の入試では合格はかなり難しいだろうと思われる生徒がこれまでに何人も合格している」という声が塾の関係者からも聞かれます。
地元枠・地域枠などは条件が合うなら狙い目
また、地域枠や地元枠といった制約がある大学の場合はそもそも出願者が少なくなりがちなので競争力は下がる傾向にあります。地域枠や地元枠での出願が可能な人はかなり有利に医学部受験をすすめられるので、総合型選抜の受験を検討するのも良いでしょう。
ただし、地域枠の場合は卒業後の勤務などに制限がかかってしまいます。今はとにかく医学部に入りたいという気持ちが強くて入学したとしても、卒業までの間に気持ちが動くことはありますし、その地域以外で働きたいと感じることもあるでしょう。
実際に、入学したのちに地域医療に対する興味・関心が維持できずに悩んでいる学生も多くいます。ですから、合格しやすいというだけで地域枠に出願するのはお勧めしません。
志望校に総合型選抜があれば、受験して損することはないので、積極的に出願してみよう
基本的に医学部の総合型選抜は他学部の総合型選抜に比べて難易度は高めです。
人の命を預かる医師を目指す以上、ある程度の学力は必要ですし、選抜が厳しくなるのは当然ですよね。他の受験生も医学部を目指すハイレベルなライバルが多くなりますから、競争が激しくなるのも仕方ない部分があります。
とはいえ、そもそも医学部受験は合格が難しいものですし、医学部を受験するチャンスが一度増えるというだけでもかなり大きいと言えるので、受験できる人は積極的に活用しましょう。
医学部に関する専門情報サイトを活用しよう
医学部受験は設置されている学校も限られており、倍率も高い受験です。また、学部ありきで志望校を選ぶというやや特殊な試験ともいえます。そのため、情報収集が非常に重要な受験と言えるでしょう。
一昔前はそうした情報を得るのが難しかったものです。しかし、現在では医学部受験を専門医した情報メディアやサイトも複数あります。是非それらのサイトを活用して情報収取してみましょう。
医学部受験に関しては、メディヒェン(https://medichen.tokyo/)といったサイトの情報が役に立ちます。
現役の医学部生が記事を書いており、医学部受験の戦略や勉強法について豊富な情報が提供されています。また、医学部生の学校生活や部活・サークル活動などについても多く発信されているので、モチベーションの維持などにも役に立ちます。