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東京大学経済学部(文科二類)の学校型推薦の合格事例と対策法    

総合型選抜・学校型推薦の受験を視野に入れると

「合格している人って、どんな人?」

「具体的にどんな試験が実施されているの?」

という疑問がわいてきますよね。

ここでは、東京大学の学校型推薦に合格した人がどんな人なのか、そして、実際の試験はどんな内容だったのか、実際の合格者へのインタビュー・アンケートをもとに紹介します。

ソゴセバサーチでは主に総合型選抜に関連する情報を提供していますが、東京大学は学校型推薦と一般入試のみとなっています。今回は学校型推薦の情報をお届けします。

東京大学を目指す人はもちろん、他学部、他大学を受験する人も参考になる情報が詰まっているので、是非参考にしてください。

東京大学経済学部 推薦入学試験の出願・選抜条件(2024年度入学試験)

東京大学経済学部推薦入試合格者のプロフィール

 Iさん
受験年度2023年度
受験大学東京大学経済学部
進学大学東京大学経済学部
現役・既卒現役
性別男性
出身高校私立灘高等学校
通っていた塾通っていない
評定平均4.9か5.0
共通テスト成績836(国182 英R97 英L94 地学基礎46 化学基礎42 地理97 世界史91 数1A93 数2B94)
英語資格・検定英検準1級
その他の資格 世界遺産検定1級  空手道初段
留学経験なし
その他特筆すべき活動科学地理オリンピック日本選手権(第16回大会銅賞、第17回大会金賞)
第16回全日本高校模擬国連大会(最優秀大使賞)
Global Classrooms International High School Model United Nations Conference/高校模擬国連世界大会(Honorable Mention Award/ 優秀賞)
第17回エコノミクス甲子園全国大会3位
第16回エコノミクス甲子園全国大会出場
第9回高校生ビジネスプラングランプリ 審査員特別賞(第3位)
日本言語学オリンピック金賞
英語資格・検定英検準1級

志望校選び―日本一の大学に行きたいと思っていた

学校型推薦を受験したきっかけは?

学校の先生に勧められたからです。一般受験と合わせるとチャンスが2回に増えると思いましたし、高校時代の活動歴や、進路がある程度定まっていたことを受けて、受験資格を十分満たしていると判断しました。

志望校はどうやって決めましたか?        

元来、大学に進学するなら東京大学に進学したいと思っていました。前期教養課程でのリベラルアーツ型の教育、さらには興味のある経済学部や文学部の分野に著名で尊敬する教授が多数在籍していたことが自身にとって魅力的でしたね。

併願はしましたか?      

東京大学に専願でした。一般入試にも東京大学に出願しました。

勉強法―一般入試でも受かる自信はあったが…

高校3年次の具体的な勉強スケジュールを教えてください。

夏まではバスケットボール部と体育祭に向けた応援団の活動に費やしていたので、あまり勉強はできていませんでした。校内選抜が9月初頭に実施されたので、8月後半に志望理由書の大枠を書き、担任の先生に提出しました。9月は体育祭があったので受験勉強は行わず、10月から一般入試の勉強を開始しました。無事に、校内選抜を通過したので、11月は面接に備えて開発経済学の図書を精読し、口頭試問が実施されるとの情報のあったミクロ経済、マクロ経済の勉強に充てました。12月初旬に面接があり、その後は共通テストの勉強に専念しました。共通テスト後、一般入試の試験勉強に精を出す中で、2月中旬に推薦選抜での合格が決まりました。

一般入試対策はどのようにしましたか?どんな学校を受けるつもりでしたか?       

一般入試でも東京大学を受けるつもりでした。高校では難関大学を想定した授業を展開していたので、高校での授業がそのまま対策になりました。個人では、共通テスト後に過去問を解いて対策しました。

一般入試でも合格できる自信が夏ごろからある程度あったので、秋以降は推薦選抜のために経済学の勉強や面接対策に専念しました。

学校での成績や模試の成績はどうでしたか?

学校での成績は上位5%に入っていて、これは学校型選抜の出願要件でもありました。模試では、入試本番に余裕を持って合格できる程度の点数と順位を取ることができていました。

留学経験・資格・特別な活動などについて詳しく教えてください。

留学の経験はありません。英検準1級、世界遺産検定1級、空手道初段を保有しています。また、教員志望のため、外国にルーツを持つ子供達に学校の勉強を教えるボランティアに参加するなどしていました。また、担任の紹介で、高3の夏にソフトバンク主催の地方創生インターンに参加するなど、推薦に向けて活動をしていました。

周囲では英検準1級を取得する人もいましたが、費用も嵩むので、個人的には特に取得する必要はあまりないと思います。

塾に通われていましたか、独学でしたか?

独学でした。中3の時に、学校の成績を提示したら特待生として無料で入れたので、その時は某有名予備校に籍を置いていましたが、高校入学時に料金を請求されたので退会しちゃいましたね(笑)。

独学ではどのような勉強をどれくらいしましたか?          

共通テスト、東大2次試験ともに過去問を解いて対策しました。期間はそれぞれ1ヶ月ほどくらいです。世界史や国語の記述は学校の先生に採点を依頼して、復習を重視しました。世界史については知識の暗記が必要だったので、共通テスト勉強の過程で、学校で配られた市販の学習ノートを繰り返し読みました。

学校や身の回りに推薦の受験生はいましたか?    

ほぼいませんでした。私の学年では、東大、京大に学校型選抜で出願する生徒が学年で計4人(東大3、京大1)。早稲田、慶應に推薦で出願した生徒が数人でした。

周りの受験生との関係性はどうでしたか?

一般入試での受験も見据えていたので、学習進度などは一致していて、関係は一切悪くなかったです。塾の自習室でまとまって勉強する同級生も多かったのですが、自分は塾に通っていなかったため、同じ立場の数人と学校の自習室で勉強し、関係も良好でした。

入学してみて感じたこと

一般入試の生徒との違いはありますか     

面接で教授とのコミュニケーションを求められるからか、推薦生は特に初対面で長時間話すことに抵抗のない人が多いように思います。学力面に関しては、推薦生も基本的には一般入試で東大を受験予定の人が多いため、特段違いはないです。

受験を振り返って

自分はどうして合格できたと思いますか?

運動部でキャプテンを務めた経験や、ディベート競技(模擬国連)、プレゼン発表(ビジネスコンテストなど)の経験から、自身の脳内を整理して相手にわかりやすく説明することに慣れていたこともあり、志望理由や口頭試問に対して的確に答えることができました。志望理由書や経歴賞歴一覧などの提出書類内容で、今まで目の前のことに誠実に取り組み、学んできたことの結果として教授陣に伝わったのだと思っています。

志望理由書や活動実績にはどんなことを書きましたか?    

志望理由書には、東京大学経済学部を志望する理由を詳細に書きました。開発経済学に興味があり、アフリカや途上国社会に興味を持った幼少期の原体験や、開発経済学に関する図書と読んだ感想、模擬国連を通して感じた、リベラリズム的、ポストコロニアル的な国連のイデオロギーに対する不信感を述べ、科学がそれらを克服することへの期待を連ねました。また、開発経済学の実証研究において日本の大家とも言える教授が東大に所属していたため、その教授のゼミと研究室に所属したい旨も書きました。

活動実績には、校外活動として模擬国連、科学オリンピック(地理、言語学)、エコノミクス甲子園、ビジネスコンテストなどの成績を、校内ではバスケットボール部でキャプテンを務めた経験、体育委員長など生徒会の要職を務めた経験、人文系の勉強合宿での座長経験や、長きにわたってクラスの級長を務めた経験などを書きました。

実際の試験内容はどういったものでしたか

1次試験は書類審査で、活動実績を先程述べた内容のとおり提出しました。

2次試験は面接で、志望理由、開発経済学への関心、開発経済学におけるある実験手法への批判に反駁するよう求められ、それぞれ回答しました。また、得意教科を問われ数学と答えたので、数3の内容を含む微分積分が出題されました。教室全面のホワイトボードを利用して、教授に助けを求めながらなんとか解答しましたね。

試験にどのように答えましたか?

面接について、志望理由や開発経済学への関心については、書類審査で提出した内容をそのまま解答しました。実験手法に関する問いは、いわゆるRCT(ランダム化試行実験)が被験者の人間性を無視しているのではないかという類の問いでした。専門的な内容だったので割愛させていただきます。数学の問いは、さまざまな関数をグラフに描写するものと、微積分学の基本定理を概念的に説明するものでした。

今後の受験生にアドバイスをお願いします。

大学受験を終えて改めて思いますが、脇目も振らず生き急がず、目の前のことに真剣に取り組み、周囲に感謝しつつ自分の決めた道を誠実にやり通すことが、人としてとりわけ重要で、入試にも大きく影響するだろうと感じました。


 

※本記事は、総合型選抜合格者のインタビューをもとに、ライターが加筆・修正したものです。