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立教大学 異文化コミュニケーション学部の総合型選抜の合格事例と対策法

総合型選抜の受験を視野に入れると

「合格している人って、どんな人?」

「自分でも合格できるかな?」

「具体的にどんな試験が実施されているの?」

という疑問がわいてきますよね。

ここでは、立教大学 異文化コミュニケーション学部の総合型選抜について、合格した人はどんな人なのか、そして、実際の試験はどんな内容だったのか、実際の合格者へのインタビュー・アンケートをもとに紹介します。

難関私立大学群、MARCHの一角として人気の高い立教大学。そんな立教大学の異文化コミュニケーション学部を目指す人はもちろん、他学部、他大学を受験する人も参考になる情報が詰まっているので、是非参考にしてくださいね。

目次

立教大学 異文化コミュニケーション学部(自由選抜入試 方式A)の出願・選抜条件(2023年度入学試験)

専願評定平均履修要件既卒要件共通テスト語学試験・検定試験内容
明記無し条件なし条件なし高卒性も可不要必須小論文・面接

他大学・他学部の情報や、さらに詳しい入試情報は「こちら」から検索することが可能です。

語学資格、留学経験、模擬国連など、総合型選抜の武器となる豊富な経験を持っている

 Mさん
受験年度令和5年度(2023年度)入試
受験大学立教大学 総合型選抜 合格
青山学院大学 総合型選抜 不合格
東京外国語大学 一般選抜 不合格
上智大学 一般選抜 合格
国際基督教大学(ICU)一般選抜 合格
進学大学国際基督教大学(ICU)
現役・既卒現役
性別女性
出身高校神奈川県 私立 高校偏差値60代後半 ※
通っていた塾一般選抜向けに大手予備校と、英語だけ別の塾に通っていました
評定平均4
共通テスト成績英語 約8割 国語 約8割 世界史 約7割 倫理 約8割
学力レベル・
学校でのテスト成績
学内順位は出ませんが、おそらく中の上程度
英語資格・検定英検準一級
その他の資格イタリア語検定準二級
留学経験イタリア留学 1年間
その他の特筆すべき活動模擬国連への参加 学年全体で行われるディスカッションイベントの運営委員長
※高校偏差値は「みんなの高校情報」(https://www.minkou.jp/hischool/ranking/deviation/)を参考にしています。

志望校選びーアドミッションポリシーを読み「まさに自分のことだ!」と思えた大学へ

― 総合型選抜を受験したきっかけはなんですか?いつ頃から準備を始めましたか?

私はもともと国公立大学志望で、一般入試での入試しか考えておらず、総合型選抜での受験は考えていませんでした。しかし、高校三年生の夏ごろに、通っていた予備校の先生に「留学したり、面白い経験をたくさん持ったりしているなら、総合型選抜も受けてみたら」と言われ、初めて総合型選抜を意識しました。推薦型選抜は成績的に受験が難しかったですが、総合型選抜なら関係なく受験できたので良かったです。

― 志望校はどのように決めましたか?

 私は一般選抜を第一志望としていたので、併願で受験できる学校に絞って受験校を探しました。そして、併願できる大学の募集要項を読んでいく中で、立教大学の求める学生像に自分がぴったり合うと感じたので立教大学に出願することに決めました。高校時代に留学をしていたこともあり言語や文化に興味があったため、第二外国語を重視しながら「ことばとコミュニケーションで他者を理解する」という学部の方針が、自分に合っていると感じました。

― 立教大学のほかにも総合型選抜を受験しましたか?

 青山学院大学も受験しました。立教大学の総合型選抜はかなり倍率が高く、一校では少し不安だったからです。青山学院大学のほうが受かりやすいと聞いていましたが、結果は不合格でした。しかも、一次の書類審査の時点での不合格でした。やはり大学のレベルという部分以上に、大学との相性、大学が求める学生像との一致、「入るならこの大学がいい」という熱意が総合型選抜の合格には必要なのだと感じました。

― 学校や周りの人に総合型選抜を受験する人は多かったですか?

 私の通っていた高校は大学まで内部進学する生徒が大部分で、外部進学する人も指定校推薦で進学する人が大半でした。一般入試や総合型選抜を受ける生徒は数名~十数名程度で、かなり少数派だったと思います。

― 少数派ということで、学校内で少し肩身が狭かったりして悩んだことはなかったですか?

受験組は少数派ではありましたが、それで周りの人や友人から何か言われるようなことはありませんでした。学校としては「外部受験する人は自力で頑張ってね」というスタンスでしたが、先生たちは個人的に相談すれば相談に乗ってくれましたし、たくさんお世話になりました。人間関係や学校の雰囲気としての悩みはなかったです。

― 留学経験・模擬国連の活動などについて詳しく教えてください 

 留学は、中学生の時からもともと興味がありました。ヨーロッパに興味があったので、ヨーロッパで留学先を探していたところ、日本とは文化や国民性が大きく異なる国に行きたいと感じ、イタリアを選びました。留学先ではホームステイをし、現地の高校に通って音楽の勉強をしていました。留学中には、イタリア語の勉強に最も力を入れました。最初は右も左もわかりませんでしたが、自分なりの勉強法を模索しながら、周りの人とのコミュニケーションの積み重ねを通して高い語学力をつけたことは自分の自信に繋がりました。

 模擬国連はオンラインで高校生の学生団体が実施しているものに参加していました。特定の国の大使になりきり、お題について国連会議を模してディスカッションするという活動です。時事問題への理解が深まるだけでなく、さまざまな意欲を持った人と関わることができ、良い経験になりました。

私の場合は受験のことを意識してこうした活動をしていたわけではないのですが、結果として留学や模擬国連の経験が総合型選抜の受験の役に立ったなと思います。こうした経験はなくても合格はできると思いますが、あるに越したことはないので、私のように留学や特別な経験を持っている人は総合型選抜での受験も視野に入れるといいのではないかなと思います。

勉強法ー時間はなかったが、小論文対策だけだったので、独学と学校の先生や先輩の添削で乗り切った

― 一般入試との両立はどのようにしていましたか?

 総合型選抜を意識したのが遅かったこともあり、ほとんど一般入試の勉強に集中していて、総合型選抜への対策は直前に少ししただけでした。留学などの活動歴はあったので、総合型選抜に向けて行ったのは小論文の対策だけです。

― どうやって総合型選抜の対策をしましたか?塾などには通っていましたか?

一般選抜の勉強は塾に通って続けていましたが、小論文試験の対策は独学で行いました。小論文の参考書(私は『小論文これだけ!人文・文化・思想・芸術・歴史』(東洋経済新報社)を使っていました)を読んで小論文の書き方を学び、書いたものを学校の先生に添削してもらうといった形で一か月程度勉強をしました。もともと文章を書いたり、いろいろな問題に考えてみたりすることが得意なほうだったので、小論文の勉強もすんなり進めることができました。

周りの友人で総合型選抜を受験する人はほとんどの人が総合型選抜の専門塾に行っていたので少し不安はありましたが、活動実績などは十分ありましたし「小論文の対策だけならどうにかなるだろう」という気持ちでした。

 また、知人や学校の先輩などを通して、過去に自分の志望校に合格した先輩を紹介してもらい、その先輩にアドバイスをもらったりもしました。自分の書いた小論文を添削してもらったこともあり、本当にありがたかったです。実際に合格した人のアドバイスを聞くのは本当に役にたつのでおすすめです。図々しいお願いを聞いてくれた先輩には本当に感謝しています。総合型選抜の塾に通っている友人にもいろいろと情報をもらいましたし、たくさんの人にアドバイスをもらって助けてもらいました。

試験官は熱意や人間性を見抜いている。強い自信と熱意が合否を決める

― 自分はどうして合格できたと思いますか?

 とにかく立教大学の求める学生像と自分がぴったりだったからということと、熱意・自信だと思います。募集要項とアドミッションポリシーを読んで「自分が受からなきゃ誰が受かるんだ!」と感じていました。そう思うと立教大学への志望の熱意も高まってきて、自然と志望理由書や課題作文などの提出書類にも気合が入りました。それを試験官の人は感じてくれていたのだと思います。逆に、「せっかくだから」という気持ちで受けた青山学院大学は不合格になっているので、やはり熱意の有無は大学側からみれば一目瞭然なのだと思います。きっちりと自分に合った大学、自分が行きたいと思える大学選びが大切なのだと思います。私は結局一般選抜でICUに進学しましたが、立教大学に進んでも後悔はなかったといえるくらい、志望度は高かったです。

書類審査・試験内容

志望理由書や学習計画書にはどんなことを書きましたか?

志望理由書ではなく課題作文でした。

テーマ: 複数の言語・文化が存在することによってそのコミュニティがどのように豊かになるか、社会的な具体例を挙げ、あなたの考えを2000字程度で述べてください、

記入内容の概要:

 複数の言語・文化の存在が社会に与える影響は、異文化を理解し合おうとすることにより、他者に対する寛容な姿勢が育まれることだと考える。社会的な具体例として翻訳を挙げる。翻訳は異文化間のコミュニケーションには欠かせないものであり、ただ言語を置き換えるだけでなく相手の文化的背景への理解も求められるからである。この考えに至った理由は、留学中に日本語の小説とそのイタリア語訳を並行して読むうちに、ニュアンスの違いに気がついたからである。そのニュアンスとは、翻訳では訳しきれない文化的・精神的な領域の違いだと考える。逆説的に言えば、翻訳の本質は翻訳できない部分にあり、それを認めた上で文化の違いをどのように伝えるかという部分に翻訳の真価が現れるのではないか。

 異なる文化を持つ者どうしが完璧にわかりあうことは難しいが、同化するのではなく互いの個性を生かし合って新たな価値観を築いていくことが必要である。そのようなコミュニティを支えるものこそ、他者への寛容さである。

立教大学 異文化コミュニケーション学部の実際の試験内容について

【小論文】

設問は、(1)課題文の要約と、(2)それに対する自分の考えを答える、の二問でした。主題は「書く」という行為についてです。アンネの日記などを例として挙げながら、書く行為の本質について問う文章でした。

【合格者Mさんの実際の解答】

自分の考えに関しては「書く行為とは自分との対話であり、書くことを通して自己を深化させていくことができる。自分自身は、留学中、イタリア語に囲まれながらも日本語で日記をつけていたことで、自身の日本人としてのアイデンティティを見つめ直すという経験をした。このように、書くことは自分自身のアイデンティティを確立する手段のひとつであると考える。」という内容を書きました。

【面接】

日本語と英語の両方で質問がありました。日本と英語の割合は、体感としては7:3くらいの割合程度だったと思います。以下、質問内容で覚えているものです。

①なぜこの学科を志望するのか(日)

②異文化コミュニケーションをする上で困難を感じたことはあるか、またそれをどのように乗り越えたか(日)

③現在世界が直面している問題はなにか、またそれにどのように対処することができると考えるか(英)

【合格者Mさんの実際の解答】

① 言語と文化の関係について学びたいから。イタリアに留学していた間、現地の人とのコミュケーションを通して言語は単なる手段ではなく、文化そのものの一部であると知った。そして言語を通してより多くの文化を学びたいと思うようになった。この学科は第二外国語の学習など言語多様性を重視しており、自分が目的としているものを学べると感じた。

② 留学中にイタリア人の友人が、アジア人を指す言葉を差別的に使っている場面に遭遇した。彼らからすればただのスラングだが、使って欲しくないとはっきり伝えた。言葉に出して伝えることで、少しずつ理解してもらえる人を増やした。

③ ウクライナ戦争などの影響で移民が増えており、移住先で現地民との摩擦などの問題が起きている。対処法としては、例えば地域の看板や説明を日本語と英語の両方で書くなど、小さい規模のことから配慮の輪を広げていくのが有効だと考える。

総合型選抜受験生へのメッセージ

この記事内でも繰り返しお伝えしていますが、総合型選抜は大学が求める学生像に合わせて、いかに自分をプロデュースするかという点が重要なのではないかと感じています。自分についてアピールしつつ、志望学部にどれほどコミットできているかを客観的に考えながら対策することで、合格に繋がりやすくなるのではないでしょうか。

ソゴセバサーチ編集部からのコメント

総合型選抜の合格には、志望校選びと、合格したいという強い気持ちが必要だというのがよくわかる合格例だったと思います。志望校選びの際には偏差値の高低や倍率の高さなどではなく「本当に自分が入りたい大学・学部」「アドミッションポリシーと自分の人間像が合致する大学」といった観点を意識しましょう。熱意が出てくると自然と勉強や課外活動にも力が入ってきますし、そうした熱意は大学の先生にも必ず伝わります。

※本記事は、総合型選抜合格者のインタビューをもとに、ライターが加筆・修正したものです。