メニュー 閉じる

京都工芸繊維大学 工芸科学部の総合型選抜の合格事例と対策法

総合型選抜の受験を視野に入れると

「自分でも合格できるかな?」

「合格している人って、どんな人?」

「具体的にどんな試験が実施されているの?」

という疑問がわいてきますよね。

ここでは、京都工芸繊維大学 工芸科学部デザイン・建築学課程の総合型選抜について、合格した人はどんな人なのか、そして、実際の試験はどんな内容だったのか、実際の合格者へのインタビュー・アンケートをもとに紹介します。

京都工芸繊維大学の工芸科学部デザイン・建築学課程を目指す人はもちろん、他学部、他大学を受験する人も参考になる情報が詰まっているので、是非参考にしてくださいね。

目次

京都工芸繊維大学 工芸科学部デザイン・建築学課程の出願・選抜条件(2023年度入学試験)

専願評定平均履修要件既卒要件共通テスト語学試験・検定試験内容
専願条件なし条件なし高卒性も可不要不要プレゼンテーション
グループディスカッション
レポート作成

他大学・他学部の情報や、さらに詳しい入試情報は「こちら」から検索することが可能です。

語学資格、留学経験、模擬国連など、総合型選抜の武器となる豊富な経験を持っている

 Kさん
受験年度令和4年度(2022年度)入試
受験大学京都工芸繊維大学 総合型選抜 合格
進学大学京都工芸繊維大学
現役・既卒現役
性別女性
出身高校兵庫県 私立 高校偏差値60代半ば ※
通っていた塾通っていない
評定平均不明
共通テスト成績未受験
学力レベル高3から成績が伸びず、一般入試ではかなり厳しいレベルでした
英語資格・検定英語検定2級
その他の資格なし
留学経験なし
その他の特筆すべき活動部活動:放送部
体育祭の応援パネル係
高校3年生の文化祭でのクラスリーダー
※高校偏差値は「みんなの高校情報」(https://www.minkou.jp/hischool/)を参考にしています。

志望校選びーオープンキャンパスでピンときた大学に

― 総合型選抜を受験したきっかけはなんですか?いつ頃から準備を始めましたか?

高校3年生になった頃から、成績がなかなか伸びず、学力偏差値が志望校に届かなさそうだと感じて、総合型選抜や推薦型選抜での受験を本格的に考えるようになりました。京都工芸繊維大学には推薦型選抜がなかったので、必然的に総合型で受験することを意識し始めました。

― 志望校はどのように決めましたか?

高校生になった頃は医学部を目指していたのですが、徐々に自分のやりたいことではないかもしれないと思い始め、3年生になる頃には心理学系の学部に行くのもいいかなと感じていました。しかし、父の仕事が建築関係だったこともあって、建築系にも興味があり、高3の夏くらいまでは心理系かデザイン系かで迷っている状況でした。しかし、京都工芸繊維大学オープンキャンパスに参加した際に「この大学だ!」とピンときて、志望校を決定しました。

― ほかにも総合型選抜を受験しましたか?

専願の大学でしたし、他に自分に合うと思う大学も見つからなかったので、一本に絞って受験しました。

高校での生活や、特別活動

― 学校や周りの人に総合型選抜を受験する人は多かったですか?

私の学校は一般選抜で受験する人が多い学校で、総合型選抜を受験する人はクラスで数名程度でした。共通テストが必要ない人となると、私ともう一人くらいしかおらず、クラスでは多少浮いていたと思います。

― 少数派ということで、苦労したこと、悩んだことはなかったですか?

夏休みが終わって受験期が近づいてくると、クラスの雰囲気もピリピリしてくるので、その中で普通の勉強ではなくプレゼンやグループワークの練習をしている私は肩身が狭かったです。実際に少し嫌味を言ってくる人もいたりしました。

特に私の場合は、HR時に先生がみんなの前で発表の練習をする機会を設けて下さって、勉強になった反面、総合型選抜受験者であることがみんなに周知されてしまったこともあり、周りから露骨にそう言う目を向けられていました。私のように、周りにあまり総合型選抜の受験者がいなくて肩身が狭くなりそうな場合などは、あまり周りの人にそれが知られないように先生にお願いしておくなどしておくのもいいのではないかと思います。

ただ、逆に、総合型選抜を受験する他の人とは団結力が強まって、仲良くなれて、それだけは少し救われました。

― 学内や学外での活動について教えてください 

総合型選抜というと、特別な経験や資格が必要というイメージがありますが、私の場合は普通に部活動やクラスの出し物で一生懸命がんばった程度です。もちろん受験する学校にもよると思いますが、資格や経験はあくまで要素の一つでしかないと思います。

勉強法ー受験日までを逆算してスケジュールをしっかり立てる

― 一般入試との両立はどのようにしていましたか?

私の場合は、総合型選抜の試験内容も多く、一般入試と総合型選抜で試験内容があまりに違いすぎて両立はかなり苦労しました。私が意識したのはスケジューリングをしっかりすることです。夏休み以降、受験までの日数から逆算して1日単位で予定を組みました。学校の先生や他の受験生と一緒にグループディスカッションなどの勉強をする日も早めに決めて、完全に予定を組んでいて、それに沿って勉強できたのが良かったと思っています。

また、私は一般選抜の勉強をする日と総合型選抜の勉強をする日を完全に分けていました。一般選抜と総合型選抜では勉強する内容が全然違うので、こんがらがってしまうくらいならはっきり分けてしまうのもう効果的かと思います。

― どうやって総合型選抜の対策をしましたか?塾などには通っていましたか?

学校生活と自習で手一杯だったので、塾には通っていませんでした。

総合型選抜の試験には自分一人で対策できないものも多いので、私は学校の先生に指導をお願いしました。自分のクラスの担任がベテランの先生で、これまでも多くの総合型選抜受験者を見てきた先生だったので、先生が色々と面倒を見てくれて、プレゼンや面接についてアドバイスをくれました。学校にもいろいろな先生がいるので、総合型選抜に詳しい先生を見つけてアドバイスをもらいに行くという積極性は必要かなと思います。

自学の時間は自分で勉強できる一次試験、レポートの勉強を中心にしていました。それほど時間もなかったので、過去問を複数年入手して一通り解くことを中心に勉強していましたが、これは効果があったと思います。あとは英語の段落要約の勉強や漢字の勉強です。デザインや建築など、何かしら受験や入学後に役立つかもと思ったことに関してはどんどん知識を入れるということもしていました。

大学生活―総合型選抜合格者の方が大学での成績優秀者が多い傾向がある

―入学してみて、総合型選抜で合格した学生と一般選抜で合格した学生のカリキュラム等に何か違いはありましたか?

入学前に最大3回ほど補習のような授業があり、そこで総合型選抜の人だけは先に集まります。そこで他の受験生より一足早く友人ができるので、大学生活に入るのがスムーズでした。ただし、入学後のカリキュラムやクラス分けに関しては、受験方式による違いは特にありません。ただ、英語の授業で、一定以上のスコアを取っている人は免除というものがあるのですが、その授業に出ている人の比率で言うと総合型の受験者の方が比較的多めではあります。

―総合型選抜の合格者はどんな人が多いですか?

まず、とにかくプレゼンのうまい人や熱意の高い人が多いです。なので、なんとなく「この人総合型の人だな」と周りの人も気づいたりします。熱意の高い人が多いので、入学後の成績優秀者は総合型選抜の人の方が多いです。これはデザイン系の学部だからというのはあるかもしれませんが、高校までの学力はあまり関係ないのだなと感じます。

よく「総合型選抜受験者は学力が低い」とか、「総合型選抜は逃げだ」みたいなことを言う人がいますが、私の大学ではどちらかといえば総合型選抜で入学した人の方が大学での成績は優秀です。なので、あまりそうした声に耳を傾ける必要はないと思います。

試験では、とにかくがむしゃらに考え抜いて解答しきる、と言う姿勢が大切

― 自分はどうして合格できたと思いますか?

試験においては、とにかく、解答を諦めずに考え切って書き切った、というのが大きかったかなと思います。解答用紙にびっしりと解答しました。答案回収時に他の人の答案が何枚かちらっと見えましたが、私くらいびっしり書いている人はいませんでした。

グループディスカッションなどでは周りの受験生のレベルが非常に高かったので、正直いい印象は残せなかったと思いますし、特別に資格や経歴があったわけでもありません。それでも合格できたのは、こうした解答への一生懸命さから自分の長所である真面目さであったり、熱意であったりが大学の人に伝わったのではないかなと感じています。

書類審査・試験内容

志望理由書や学習計画書にはどんなことを書きましたか?

志望理由書は2枚に分かれており、1枚目は今までの活動について、2枚目は志望理由と学びたいことについて記載した。

記入内容の概要:

1枚目は、高校三年生の文化祭でリーダーを務め、様々な工夫を凝らし、大成功をおさめたこと、体育祭の応援パネルの制作リーダーを中学生から続け、高校三年生のパネルでは、最優秀賞を獲得したこと、放送部の副部長を務め、お昼の放送を考案し、企画して、実行に移したことの3つについて記述した。
2枚目は、「高校1年生のヨーロッパ研修で、訪れたフランスのリールの街に魅了され、古い町並みに興味を抱き、将来は、空き家やシャッター商店街をニーズに合わせ、その建物の良さを活かしながら、カフェなどにリノベーションしたいと思った。それを貴学なら実現出来る」ということをメインに記した。また、興味のある教授や大学のプロジェクトについても、触れた。

京都工芸繊維大学 工芸科学部デザイン・建築学課程の実際の試験内容について

【講義を聞いて書くレポート作成】

試験時間は、90分。

「人間にとって建築とはどのような存在なのか」という題材で、ふたつの広島の戦後の建築についての講義をきき、それに関するレポートを書いた。

レポートの内容は、

  • 問1、講義を聞いて、何を思ったか
  • 問2、身近な場所にある戦後に建てられたものでみんなが慣れ親しんだ建物で、次の世代に残したいものは何か(建物を、具体的に説明し、理由を客観的に説明)
  • 問3、コロナや自然災害などで、様々な分野の見直しが迫られてるが、変わるものと変わらないものはなにか。建築やデザインのせかいで、どのようなことを大切にせねばならないか

という問題に対し、罫線の引かれた紙に記述した。

【合格者Kさんの実際の解答】

問1は、配られた資料にメモしたことや特に印象に残ってることを中心に要約した。

問2は、自分の小学校を選択した。戦後に立てられ、阪神・淡路大震災で7人の犠牲者がでてしまい、その当時の時間で止まった時計や慰霊碑などがあり、その出来事は昇華しては行けないと思ったということを中心に具体的に説明した。

問3で、少子化などに伴いニーズが変わるため、買い手・使い手の気持ちを考えることが大切ということについて具体的に説明した。

総じて、時間が厳しかったため、ひたすら思いついたことを書くようにした。

【課題提示・レポート作成(学力テスト・小論文)】

試験時間は120分。

下線部和訳、英文の段落要約、日本語の文章に穴埋め、ひらがなから漢字に直す問題、その文章内容に関連した問題が出題された。

関連した問題とは、「入学した場合、大学でどのようなわからないに直面し、どのような自分オリジナルの挫折を経験するだろうと予想するか、またそれに対しどのような対応をするか」を具体的に400字程度で説明。

【プレゼンテーション】

「不便を楽しむ日用品を考案し、絵や図表を用いて提案せよ」というお題に則したものを、白紙に書いてまとめ、それを教授の前で発表する。解答には、内容やタイトル、強み弱み面白さも書く。

【合格者Kさんの実際の解答】

「不便を便利に変える」ではなく、「楽しむに変える」という点に焦点を置いた。日用品の解釈は自由であったため、「通勤・通学での電車の長い移動時間、移動するときの退屈な車内の空間」を日用品と捉えた。その時間や空間を楽しめるようにするために、周りを気にせず話せたり、仕事や勉強ができたりするフリースペースの設置を提案した。そこから考えられる、コストがかかるデメリットや自分の体験談などを交えて説明した。

【グループディスカッション】

「ものと道具の相互関係から予測される未来のシナリオを3つ考えなさい」というお題で、各班6人で話し合い、模造紙にまとめ、全体の前で発表する。

【合格者Kさんの実際の解答】

抽象的なお題の解釈から始まり、AIや地球温暖化などの現在の問題などに絡めて議論を進めた。

総合型選抜受験生へのメッセージ

総合型選抜を受験することはチャンスが増える一方で、時間的にも精神的にも余裕がなくなってつらいと思ってしまうときがあるかと思います。でも、試験に取り組んだことや受験したことは、すぐに結果に出なかったとしても自分の強みに繋がります。これからも大変だとは思いますが、周りの友人や先生たちを沢山頼って後悔しないように頑張ってください、応援してます。

ソゴセバサーチ編集部からのコメント

京都工芸繊維大学は試験内容も多く、学校で総合型選抜の対策をしてもらえない場合はかなり対策が大変そうですね。しかし、Kさんのように熱意をもって取り組むことができればどんな状況から合格が可能だと勇気をもらえるのではないでしょうか。それぐらいの熱意を持てるような志望校選びも重要になってきそうです。

※本記事は、総合型選抜合格者のインタビューをもとに、ライターが加筆・修正したものです。