このページに訪れたあなたは、きっと
「総合型選抜ってそもそもなに?」
「総合型選抜を利用したいけど、どう対策すればいいんだろう…」
という悩みをお持ちだと思います。
そんな悩みを持つあなたに向けて、総合型選抜の最新情報を伝えるための専門ポータルサイトとして2023年に誕生したのが「ソゴセバサーチ」です。
このページでは、まず総合型選抜とは何なのか、ということをご説明します。
読み終えた時には、きっと
「総合型選抜って、こういう試験なのか」
「自分には強みがあるから受験できそうだ」
「自分は向いているかもしれない」
「自分にはあまり向いていないのかもしれない」
といったことがわかるようになっているはずです。
目次
総合型選抜(旧AO入試)とは、受験生の人物像を大学が直接見極める選抜方式
総合型選抜では学力試験よりも意欲・関心・人間性がみられる
総合型選抜とは、大学受験の入試方式の一つです。かつては「AO入試」という名称で実施されていましたが、2021年度入試から「総合型選抜」という名前に改称されました。
総合型選抜がどんな選抜方法なのかを簡単にまとめると
・大学の求める学生像に合致する人材を直接見極めて選抜する試験
であり、そのため、
・学力試験以上に、意欲や関心、高校時代の活動実績や人間性を重視する試験
となっています。
現在、大学は新規入学者の受け入れに関して、アドミッションポリシー(大学の理念に基づく選抜方針)というものを公表しています。アドミッションポリシーというのは「この大学はこのような生徒に入学してほしいと思っています」という指針のこと。
そして、このアドミッションポリシーに合致する受験生を、学科試験以外の方法も使って選抜するのが総合型選抜ということですね。
一般入試では学科試験の点数次第で合否が決まってしまいますが、単純な試験では測れない能力や意欲を持っている学生もたくさんいます。そうした受験生を受け入れるために実施されている試験なのです。
出願条件は学校によって多種多様
総合型選抜では、選抜方法は学校が独自に決めることになっていて、そのため、出願できる条件も学校によって大きく変わってきます。
学校での成績が一定以上でなければいけない学校もあれば、特定の資格を持っていなければいけない学校もありますし、現役生しか受験できない学校もあります。とにかく出願条件がそれぞれ異なるので、出願校選びの際はきっちりと募集要項を読み込む必要があります。
主な出願条件としては
- 現役・浪人要件
- 評定平均
- 履修要件
- 保有資格
- 共通テストの受験
- 特別な活動歴
- 専願
などがあります。複数の出願条件を設けている大学もありますし、出願条件がほとんど設定されていない大学もあり、多種多様です。
出願条件についての詳しい解説はこちらの記事にまとめてあります。(総合型選抜の出願条件・資格を143校分徹底調査し、解説しています)
総合型選抜は、これまでに特別な経歴・実績がなくても合格できる
「総合型選抜はこれまでの特殊な活動経歴や留学経験がないと受験できない」と思っていませんか?それは間違いです。
確かに出願条件の中に「スポーツや文化活動で全国大会レベルの成績を収めたもの」や、「海外での学習の経験が1年以上あるもの」などの条件を課している学校や学部は複数あります。総合型選抜やAO入試と聞くと、そのイメージが強いのだと思います。
しかし実は、こうしたハイレベルな条件を課している大学はそれほど多くありません。
これまでの実績の条件が全くない大学も多くありますし、「これまで社会での活動に興味を持ち、何らかの活動を行ったことがあるもの」など、抽象的な書き方をしている大学も多くあります。こうした場合は、自分なりに頑張った経験があり、それを伝えることができれば問題ありません。
総合型選抜は、これからの学びの熱意や大学との相性を見極めて選抜を行う試験です。ですから、これまでの実績がなくても、これからの学びの熱意があるなら受験ができるようにしてある大学は多いですし、実績を求められるといっても、あまりにずば抜けたものである必要もありません。
(そもそも、全国大会や本格的な海外留学に行っている生徒はかなりの少数派なので、そうした人しか受験できないのでは各大学、定員割れだらけになります)
実際に、総合型選抜の合格者からは以下のような声も届いています
「総合型選抜はこれまでに特別な経歴・実績がなくても合格出来る。というのは私自身強く思います。実際に、合格した友人の中には、高校の時に色々なプログラムに参加したり、賞をとっていた人もいますが、私はそうしたことはなく、ただ文化祭や体育祭でリーダーを務めて頑張ったくらいです。逆に、プログラムに参加していたり、全国レベルで賞を受賞していたけれど、総合型選抜で不合格になった友人もいます。
ー京都工業繊維大学 工芸科学部 合格者」
選抜の評価方法も大学によって多種多様
総合型選抜では、一般選抜とは異なる多様な選抜方法が活用されています。
特に代表的なものとして
- 事前に提出する志望理由書などの書類の内容
- 面接、口頭試問
- プレゼンテーション、事前課題に対しての発表
- 小論文、筆記試験(論理的思考力を問う総合問題など)
が多くの大学で実施されています。
また、当日試験だけでなく、出願時の提出書類の中に事前課題が含まれていることもあります。
入試の内容はAO入試時代とほぼ変わらない
先ほども書いた通り、総合型選抜は元々AO入試という入試制度でした。しかし、2021年度からは名称が変わり、方針や内容も少し変化しました。
これは、2021年度入試からの大学入試全体の改革に合わせたものです(センター試験も共通テストに名称変更されましたよね。)
となると、気になる点はAO入試からなにが変わったかということですが、結論からいうと選抜の内容自体はそれほどAO入試時代と変わっていません。
総合型選抜の改革の中で最も重要なのが「総合型選抜でも学力を測ることができる試験を実施しなければならない」という風に方針変更がなされたこと。しかし、多くの大学は以前からAO入試で小論文などの試験を実施しており、これを「学力を測る試験」として活用するという形になっています。つまり、選抜内容自体は以前のAO入試からほとんど変わっていないという大学が多いのです。
ですから、基本的にはAO入試からの変更点は大きくはないと考えていいでしょう。
論理力とコミュニケーション能力を図る試験が増加傾向
ただし、当然ながら、これまでと選抜の条件や試験内容を変更している大学も増えていますし、これまでと全体的な実施試験の傾向が変化しつつある部分もあります。具体的には、グループディスカッションや口頭試問など、論理性とコミュニケーション能力を同時に図る試験の割合が増えています。
まだ改革は始まったばかりで、令和7年度以降には新たな学習指導要領に対応した入試もはじまっていくので、これから傾向の変化がみられるかもしれませんから、入試情報のチェックはかかせません。
学校推薦型選抜との最大の違いは2つ。①推薦がなくても受験可能 ②試験の種類が多様
総合型選抜 | 学校推薦型選抜 | 一般選抜 | |
---|---|---|---|
学校の推薦 | 不要 | 必要 | 不要 |
評定平均 | 必要な学校もある(3割程度) | ほぼ確実に必要 | 不要 |
選抜方法 | 書類審査 + 小論文・面接・課題発表・ セミナー受講とレポート など多種多様 | 書類審査 + 小論文・面接が多い | 筆記試験のみ (一部の大学・学部では面接もある) |
試験時期 | 主に9~10月 (それ以外の大学もある) | 11~12月 | 1~2月 |
総合型のほうがとにかく多様性が高い
大学入試にはいろいろな入試制度がありますが、特に総合型選抜と学校推薦型選抜(以下、推薦入試と表記します)の違いがわかりにくい、というのもよくある悩みです。
基本的には、総合型選抜と推薦入試の最大の違いは、学校からの推薦が必要かどうかです。総合型選抜は大学側が定める出願条件を満たせば、学校の推薦を得なくても出願することができます。一方、推薦入試は当然ですが学校の推薦が必須になります。
出願条件の点では、推薦入試はほぼ確実に評定平均(学校の成績)の提出が必要となります。総合型選抜でも必要な評定平均や履修条件が定められていることもありますが、定められないことも多いです。
その他の点では、とにかく総合型選抜の方が試験や出願資格、スケジュールのバリエーションが多いということが挙げられます。アドミッション・ポリシー(大学の理念に基づく選抜方針)に合う受験生を募集するために行うのが総合型選抜ですから、大学によって違いが出ることは当然ともいえます。
出願校選びの際には大学ごとにしっかりと出願条件を確認する必要が出てきて大変ですが、その分自分に合った入試制度を実施している大学と出会える可能性も増えます。
<注意>ごく稀に、総合型選抜にも学校の推薦書が必要な場合がある
総合型選抜の試験であっても出願条件に学校関係者やその他の大人の推薦書が含まれている場合があります。こうした点も含めて、総合型選抜は学校によって本当に内容が様々なので、興味のある大学に関しては必ず募集要項を読み込むようにしましょう。
総合型選抜での大学入学者数は2年間で約1万7千人増加し、存在感が高まっている
総合型選抜での入学者数は国公立・私立ともに増加傾向
近年、大学入学者数に占める一般選抜合格者の割合は減っており、推薦型選抜や総合型選抜などの特別選抜によって入学する生徒の数の割合が増えています。私立大学ではすでに半数以上が一般選抜以外の特別選抜によって入学している現状があります。
その中で総合型選抜も存在感を増してきています。
文部科学省によると、大学入学者全体に占める総合型選抜の入学者の割合は以下のようになっています。
国立 | 公立 | 私立 | 全体 | |
---|---|---|---|---|
2019年度 | 4.1% (4,016人) | 2.8% (927人) | 11.6% (56,184人) | 9.9% (61,127人) |
2020年度 | 4.2% (4,106人) | 3.3% (1,089人) | 12.1% (59,846人) | 10.4% (65,041人) |
2021年度 | 5.5% (5,342人) | 3.8% (1,287人) | 14.7% (71,292人) | 12.7% (77,921人) |
年々総合型選抜の入学者数と全体に占める割合が増えていて、総合型選抜も主要な入試方式の一つとして存在感を増していることがわかります。特に私立大学での利用者の多さは際立っていますね。
以前は実施大学のほとんどが私立大学だったが、現在は国公立大学でも実施大学が増加中
また、AO入試といえば、かつては「私立大学のもの」といったイメージがありましたが、現在はそうした状況もだいぶ変化してきています。
私立大学だけでなく国公立大学でも多く採用されるようになっており、国立大学では約77%、公立大学では約39%の大学で総合型選抜が実施されています。(私立は約90%)
まだ入学者全体に対する割合としては少ないですが、京都大学や大阪大学といった最難関大学でも実施されるようになっていますし、募集人員は増加傾向にありますから、総合型選抜はこれから国公立大学においてもさらに存在感を高めていくことになるでしょう。
総合型選抜の3つのメリット
① 学力以上のレベルの大学にチャレンジできる(学科試験に不安・苦手があっても合格できる可能性がある)
総合型選抜の最大のメリットは、基本的に二次試験レベルの学科試験がないということ。つまり、一般選抜試験の偏差値的には合格できないラインにある大学にも合格できる可能性があると言うことです。
行きたい大学があるのにどうしても苦手な受験科目がある場合などには非常にありがたいですね。
ただし、総合型選抜は学科試験がないことが多いからといって学力が低くてよい、ということではありません。小論文や面接で的確な論述や受け答えができるような思考力や論理性は磨いておく必要がありますし、受験する学部や学びたい内容に関する知識・学力も必要です。
また、大学によっては二次試験レベルの学科試験を課す大学もいくつかあり、これも様々です。国公立大学の場合、大学入試共通テストの成績がある程度必要となることも多いため、受験の際はしっかり確認をしましょう。
② 合格のチャンスを増やせる(受験の回数を増やせる)
総合型選抜で不合格となっても一般選抜を受験することができるため、単純に受験のチャンスを増やすことができます。
また、総合型選抜には倍率が比較的低く、合格しやすい大学・学部も存在するので、とにかく大学の合格が欲しい、という人は総合型選抜を検討してみるのがおススメです。(ただし、総合型選抜は合格したらその大学へ進学しなければいけないことが多いので、受験校選びは慎重に行いましょう)
③ 受験が平均2~3ヶ月ほど早く終わる
総合型選抜は公立大学や私立大学であれば11~12月に合格発表があることがほとんどのため、一般入試よりも受験が早く終わります。
受験が早く終わると気持ちも楽ですし、大学入学に向けての準備期間にすることもできますから、時間を有効に使えます。
ただし、その期間でするべき課題が大学から課されることがあること、大学や学部によっては発表が2月ごろであることなどには注意が必要です。
総合型選抜のデメリット
① 総合型選抜に向けた対策が追加で必要になる
当然ながら、総合型選抜には総合型選抜に応じた対策が必要となります。通常の学科試験とは試験内容が異なるため、一般選抜の対策をしているだけでは試験に太刀打ちできないことがほとんどです。
さらに、大学や学科ごとに求める能力や試験の内容が大きく異なることもあるので、受験する大学や学部に向けた専用の対策が必要となります。
そのため、うまく時間のやりくりをしないと、総合型選抜も一般選抜も中途半端になってしまい、どちらも合格できなかったと言う事態にもなりかねません。
② 滑り止めや併願には利用できないことが多い(合格したら辞退できないことが多い)
総合型選抜では、合格した場合は原則その大学に入学することが必須となることが多くあります。これを専願制と言います。そのため「とりあえず受けられるなら受けておこう」という気持ちで深い考えなしに受験してしまうと後で後悔する可能性も…。
また、自分の学力レベルよりも非常に高いレベルの大学に合格した場合、入学後にも苦労する可能性があります。入学後のことも考えて、総合型選抜の出願は慎重に行いましょう。
このようなデメリットもある総合型選抜ですが、元から行きたい大学に出願するのであれば受験して損をすることは基本的にありません。むしろ多大なメリットがあるので、志望校に総合型選抜があれば積極的に活用を検討すべきでしょう。
あまり行きたいと思えない大学に総合型選抜に出願して合格した場合、後から後悔してしまう可能性もあります。
総合型選抜に限りませんが、出願校選び、受験戦略をたてる際は慎重に行いましょう。
どんな学部にも総合型選抜で入学できるチャンスがある
行きたい学部の総合型選抜を実施している大学は必ずある。医学部も総合型選抜で入れる
現在では多くの大学で総合型選抜が実施されていますが、その大学のすべての学部で総合型選抜が実施されているかというと、そうとは限りません。
ほとんどの学部で総合型選抜が実施されている大学もあれば、特定の学部でだけ総合型選抜を実施している大学もあります。また、学部全体で募集や試験を行う学部もあれば、細かく学科や専修ごとに募集人数や募集条件を定めている学校もあり、同じ学部でも学科ごとに試験内容が異なることもあります。
しかし、よほど特殊な学部でない限り、基本的には、「どこの大学でも総合型選抜が実施されていない学部」というのはありません。ですから、全国を探せば自分の学びたい内容の学部で総合型選抜を実施している大学は必ず見つかります。
難関の代名詞ともいえる医学部でも総合型選抜を実施している大学は多くあります。(医学部の総合型選抜の実施校・注意点についてはこちらの記事で解説しています)
全体的には文系学部での実施割合が多いが、理系は穴場も多い
全体的な傾向としては、文系学部の方が総合型選抜を実施している割合は高く、募集人員は多い傾向にあります。
特に国際系の学部は多くの大学で総合型選抜が実施されています。留学経験や英語資格などは評価しやすく、しかも一般選抜で測ることができない指標であるため、総合型選抜との相性が良いのではないかと思います。受験者数も多く、募集人員も多めになっていることが多いです。
逆に、理系学部の募集人員は少な目の大学が多く、出願者数も少ない傾向にあります。
理系の場合は高校レベルの数学や理科の知識が必須になるため、入学の際の履修条件などが厳しいことが多く、学科試験も課されることが多いためか、そもそも出願者が少ない傾向にあります。
そのため、募集人員は少ないですが競争率は低めなことが多く、理系の受験生にとって穴場となっていることもよくあります。
行きたい大学に総合型選抜があるのであれば、理系の受験生は積極的に活用を検討してみるのが良いでしょう。
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以上が総合型選抜の概要となります。
総合型選抜の選抜内容についてもっと詳しく知りたい人は以下の記事もチェックしてみてください。
試験内容について知りたい場合はこちら(総合型選抜の試験の種類・内容を徹底解説しています)
出願資格・条件について知りたい場合はこちら(総合型選抜の出願条件・資格を143校徹底調査・解説しています)
入試スケジュールについて知りたい場合はこちら(2023年度入試のスケジュールと注意点を解説しています)
医学部の総合型選抜について知りたい場合はこちら(医学部で総合型選抜を実施している学校一覧や、医学部入試の特徴・注意点を解説しています)