総合型選抜と一般選抜を両立するかどうか、そしてどちらに比重を置くかは人によって異なります。一般受験の前に保険として年内に総合型選抜を受けておく人もいれば、総合型選抜で合格を狙いながら保険として一般選抜も受ける人もいます。
近年では、東洋大学が年内に学力テスト型の総合型選抜を実施し、高倍率となった例もありました。このように入試方式の多様化が進んでいる現在では、自分に合った戦略を選ぶことが重要です。
どちらを重視する場合でも大切なのは、自分が力を入れるべき方向を見誤らないことです。ここでは総合型選抜と一般選抜を両立するための考え方や計画の立て方について説明します。
目次
本命をどちらにするか明確に
総合型選抜と一般選抜を両立する場合、まず自分がどちらを主軸にするのかを明確にする必要があります。両立とはいえ、両方を同じ比重で進めることは現実的には難しく、優先順位が曖昧なまま対策を続けると、結果的にどちらも中途半端になりやすいためです。総合型選抜を本命とする場合は、探究活動や志望理由書の完成度を最優先に考えます。その上で、一般受験については最低限の学力を維持するという位置づけになります。
一方で、一般選抜を本命にする場合は、日々の学力対策を中心に据えながら、総合型選抜の準備を並行して進める形になります。どちらの方式が自分に適しているかは、志望校の入試制度や自分の得意科目、これまでの活動歴などによって異なります。感覚で決めるのではなく、合格可能性という観点から冷静に判断することが大切です。
総合型選抜を視野に入れるのであれば、高校一年生・二年生の段階から実績や探究活動を積み重ねておくのが理想的です。高校三年生になってから急に総合型選抜を受験しようと考えても、自分の探究テーマが何もない状態から準備を始めるのは容易ではありません。テーマの完成度が高くなくても構いません。たとえ趣味の延長のような内容であっても、継続して取り組んできた活動には意味があります。継続しているという事実そのものが、志望理由書や面接での説得力につながります。
私自身も、最初から明確なテーマがあったわけではありません。興味のある分野について調べたり、関連する本を読んだりという小さな積み重ねから始まりました。振り返ってみると、その積み重ねがあったからこそ、高校三年生で本格的に総合型選抜の準備を始めたときに方向性を定めやすかったと感じています。
総合型選抜対策にはまとまった時間が必要
総合型選抜の対策は、一般受験の勉強とは時間の使い方が異なります。英単語の暗記や問題演習のように、隙間時間を活用して少しずつ進めることが難しい側面があります。志望理由を深めたり、自分の経験を整理したりする作業には、ある程度まとまった時間が必要です。
そのため、平日の短時間ではなく、土日などに計画的に時間を確保する方が効果的です。例えば、平日は一般受験の学習を中心に進め、土日に数時間まとめて総合型選抜の書類作成や探究内容の整理を行うという形です。
私も実際、平日は学校の授業や一般受験の勉強で手一杯になることが多く、総合型対策は主に土日に進めていました。数時間まとめて考える時間を取ることで、自分の考えが整理され、文章も書きやすくなりました。短時間で無理に進めようとするよりも、集中できる時間を意識的に作る方が効率は良いと感じました
高1・高2での総合型選抜に向けての準備
総合型選抜と一般選抜を両立する場合、早い段階からの準備が前提になります。特に総合型選抜では、探究活動の積み重ねが重視されます。高校三年生になってから急いでテーマを作るよりも、高校一年生や二年生の段階から少しずつ取り組んでおく方が、内容に深みが出やすくなります。
大学側も、どれだけ長く一つのテーマに取り組んできたかを見ています。短期間でまとめた内容よりも、継続的に考え続けてきたテーマの方が説得力を持つためです。
実際、私が面接を受けたときにも「高校一年生からこのテーマで続けてきたんだね」と面接官に言われました。最初はそこまで意識していたわけではありませんでしたが、振り返ると継続してきたこと自体が評価につながっていたように感じました。やはり、探究は積み重ねが大切だと実感しました。
総合型選抜を視野に入れている場合、高校一年生から高校二年生にかけては次のような流れで探究を進めると準備がしやすくなります。
【高1、高2のスケジュール例】
| 時期 | 一般受験対策 | 総合型選抜対策 |
|---|---|---|
| 高1(4〜9月) | 英検、資格試験の勉強や取得を始める 河合塾の模試で実力試し | 自分の探究テーマを決める |
| 高1(10〜3月) | 同上 | 探究テーマに沿った軽めのレポート作成・博物館や資料館などを実際に訪れる |
| 高2(4~9月) | 志望校の一般入試に必要な教科の苦手分野を埋める | 探究テーマと関連するコンテストや賞に応募する・高1で作成したレポートをブラッシュアップする |
| 高2(10~3月) | 資格系の取得を終える(英検2級、準1級) | 志望理由書を書き始める |
高校3年生の両立スケジュール例
両立を進める際には、年間の流れをあらかじめ整理しておくことが重要です。以下は高校3年生の一般的な対策の例です。
【高3の受験対策スケジュール例】
| 時期 | 一般受験対策 | 総合型選抜対策 |
|---|---|---|
| 春(4〜6月) | 基礎内容の復習・弱点補強 | 探究テーマ整理・志望校研究 |
| 夏休み | 受験科目の基礎固め・総ざらい | 志望理由書作成・探究の整理 |
| 秋(9〜11月) | 過去問演習・実戦問題 | 面接対策・書類最終調整 |
| 冬以降 | 共通テスト・個別対策 | (合格後は学習習慣維持) |
このように、夏までは基礎固めと書類作成、秋以降は実戦対策という形で役割を分けると進めやすくなります。
先に示した図の様に三年生になる前から総合型選抜対策をきちんと進めている場合は、探究テーマの整理、志望理由書作成がスムーズに行くので図で示したより早く終わるでしょう。実際、私も夏前に志望理由書の作成がほぼ終わっていました。
両立で起こりやすい失敗パターン
総合型選抜と一般選抜を両立すると、単純にやることが増えるため負担が大きくなります。よくある失敗としては次のようなものがあります。
- 総合型対策に全ての時間を使い、不合格後に一般対策が不足する
- 一般の勉強ばかりで総合型の準備が浅くなる
- 志望理由の軸が途中でぶれる
- 時間管理が崩れる
- 精神的な疲労が蓄積する
私自身は特に時間管理が甘くなりやすく、一日中総合型対策に時間を使ってしまい、一般の勉強ができなかったことが何度もありました。対策としては、タイマーや時間管理アプリを使って学習時間を区切る方法が効果的でした。
総合型選抜と一般選抜は求められる能力の性質が大きく異なります。総合型は思考や表現が中心であり、一般選抜は知識の定着や問題演習が中心です。この二つを同時に行う場合、時間を明確に分けないと混乱しやすくなります。
例えば次のように区切る方法があります。
- 午前は一般受験の暗記・演習、午後は総合型対策
- 学校では一般勉強、自習室では総合型対策
- 家では志望理由書や探究の整理
私は時間帯や場所によって取り組む内容を変えることで、気持ちの切り替えを意識していました。環境によって学習内容を固定すると集中しやすくなります。
総合型選抜出願後も学習リズムを維持する重要性
総合型選抜に出願すると、書類の最終確認や面接対策などに意識が向きやすくなります。準備が本格化する時期でもあり、どうしても総合型対策に集中したくなるものです。しかし、それまで続けてきた学習リズムを崩してしまうことは望ましくありません。特に一般選抜を併願している場合は、日々の学習習慣を維持することが重要です。出願が終わった安心感から一般受験の勉強量が減ってしまうと、後から取り戻すのが難しくなります。学力は短期間で大きく伸びるものではないため、安定した積み重ねが欠かせません。
もちろん、総合型選抜が明確な本命であり、合格可能性が高い場合には例外もあります。それでも学習を完全に止めてしまうと、仮に結果が思わしくなかった場合の切り替えが難しくなります。どのような状況でも、最低限の学習リズムは保っておくことが安全な選択です。
仮に総合型選抜で不合格となったとしても、それまでの取り組みが無駄になるわけではありません。志望理由書を作成する過程で、自分の経験を振り返り、考えを言語化する力が養われます。これは現代文の記述問題や小論文対策にもつながりますし、論理的に考える力そのものが伸びます。大学入学後もレポート作成や探究活動が求められます。総合型対策で培った思考力や文章力は、そのまま大学での学びに活かすことができます。
私自身、志望理由書を書き直す中で、自分が何に興味を持ち、どの分野で学びたいのかが以前より明確になりました。たとえ結果がどうであれ、この過程は確実に自分の力になっていると感じました。
一方で、総合型選抜で第一志望に合格した場合でも、安心しすぎないことが大切です。合格は一つの通過点であり、大学での学びが本番です。大学入学後も基礎学力は必要になります。英語や文章読解力、基本的な思考力はどの学部でも求められます。そのため、合格後であっても最低限の学習習慣を維持しておく方が望ましいです。受験勉強のすべてを続ける必要はありませんが、読書や基礎問題の演習など、負担にならない形で学習を続けることが理想的です。
総合型選抜の直前期には、対策の優先度を自分の中で整理することが重要です。面接練習や想定質問の準備など、やるべきことは増えていきます。その中で一般選抜の勉強とどう両立させるかをあらかじめ決めておく必要があります。私は直前期に、自分なりのルールを作っていました。例えば、午前中は一般受験の科目を必ず二時間行い、午後に総合型対策を進めるというように、時間配分を固定していました。どれだけ面接が不安でも、一般の勉強をゼロにはしないと決めていました。
こうしたルールを設けることで、焦りに振り回されにくくなります。直前期はどうしても不安が強くなりますが、リズムを保つことがメンタルの安定にもつながります。総合型直前期のリズムを自分の中で作り、それを守ることは、結果に関わらず自信につながります。受験は長期戦であり、最後まで自分のペースを維持できるかどうかが重要です。総合型と一般を併願する場合こそ、時間管理とメンタルコントロールを意識した準備が求められます。
総合型選抜と一般選抜の戦略を判断するポイント
総合型選抜と一般選抜の両立は、すべての受験生に向いているわけではありません。大切なのは、自分の性格や現在の状況に合っているかどうかを冷静に見極めることです。
両立を選ぶ場合でも、その方法にはいくつかのパターンがあります。
両立の主なパターン
- 共通テストのみを受験する
- 共通テスト+個別入試まで受験する
どこまで一般選抜を併願するのかによって、学習負担やスケジュールは大きく変わります。自分の勉強量や準備状況を踏まえて現実的に判断することが重要です。
総合型選抜と一般選抜の両立は、特に志望校が明確に決まっている人に向いています。志望校がはっきりしていれば、複数の入試方式を戦略的に活用することができます。
両立戦略のメリットとしては、次のような点があります。
- 総合型選抜
- 共通テスト
- 個別入試
このように複数の受験機会を持てるため、合格可能性を広げやすくなります。
総合型選抜一本が向いている人
- 明確な探究テーマや活動実績がある
- 面接やプレゼンテーションなどの表現が得意
- 早い時期から対策を進められる
自分の取り組みを言語化できる材料がそろっている人は、総合型選抜の評価基準と相性が良い傾向にあります。書類作成や活動の積み重ねには時間が必要なため、早くから準備できる環境があるかどうかも重要なポイントです。
一般選抜一本が向いている人
- 学力試験で結果を出すことが得意
- 探究テーマが定まっていない
- 面接が苦手
探究テーマが定まらない場合は、無理に総合型選抜を目指す必要はありません。テーマ設定や書類作成に時間を使うよりも、教科の学習に集中した方が効率的なこともあります。また、一般選抜は対策の軸が学力試験に絞られるため、やるべきことが明確になります。シンプルな学習計画で受験を進めたい人には向いている方法と言えます。
受験方式は一旦全て見据えてから絞る
総合型選抜と一般選抜の両立は、負担が大きい一方で合格の可能性を広げる有効な戦略でもあります。重要なのは、どちらを主軸にするかを明確にし、計画的に時間を配分することです。
実際には、多くの受験生が最初から受験方式を一つに決めているわけではありません。総合型選抜と一般選抜の両方を視野に入れて準備を進め、その過程で自分に合った方法へと絞っていくケースも少なくありません。年内入試の中で自分に合う大学や方式が見つかることもありますし、総合型選抜が進路の選択肢を広げてくれることもあります。
大切なのは、最初から一つの方法にこだわりすぎるのではなく、自分の状況を見ながら受験戦略を柔軟に調整していくことです。総合型選抜と一般選抜の両方を理解した上で準備を進めることで、最終的に納得できる進路選択につなげることができます。
